このコラムは、Tips on Coaching「コーチングの秘訣」です。「今雇用されている会社の仕事はそのままで、コーチングビジネスを週末だけはじめよう」とか「育児中だから、Sohoでコーチングを起業しよう」などという方のために書いていきます。
第2回
コーチになりたてのころは、スタートの焦りから、相手のことを考えずに熱くセールスしてしまったり、クライアント欲しさのあまり「根拠のない表現や相手が受け入れにくい表現」をしてしまったりし、逆に相手を遠ざけてしまうのです。それでは、セールスとしては逆効果で、コーチング業界全体にとっても望ましいことではありません。
その営業姿勢そのものもコーチとしていかがなものかと感じさせますね。相手にとって役に立つサービスであるという自信があるのなら、過剰な説得をする必要などないはずなのです。基本的には、「私はコーチで、ここにいます。こんな仕事をしています」とメッセージを発信すればいいのだと思います。
私自身は「世の中の人すべてにコーチがいたほうがいい」と考えています。そんな中で「コーチを求めている」という自分のニーズを顕在化している人が少ないのも事実ですが、そのようなケースでも丁寧に潜在ニーズの掘り起こしをすると、「面白そうね」「一度やってみたい」「確かに、話すことで気づきがあるわ」という人も徐々に出てきます。
しかし、「私は自己実現したい」「自分らしい自分に出会いたい」など一度も考えたことのない人には、コーチングを勧めても有料クライアントにはなりづらいことは体験から感じています。そんなときは、諦めたほうがいいのです。クライアントになってくれそうな人を逃すまいとして押し続けるよりも、そのエネルギーを多く人との接点をもちメッセージを発信することに使ったほうが効果的であるのは言うまでもありません。
第2に、コーチングスキルの稚拙さもコーチングの誤解を生んでいます。
コーチングスキルを一通り学んだからと言って、いいコーチになれるわけではありません。コーチングを簡単に学んだだけで、スキルアップできていないのに有料でコーチングらしきことをしているコーチもコーチングの誤解の元となります。
過去にコーチングを受けてみて、「コーチと言ったって別に特別な技はなく、ただ話をきいて頷いているだけじゃないか」という人や「月額数十万円で雇ったけれど、費用対効果を考えるといかがなものか」と評価している経営者もいました。
これらの経験から「コーチングはあまり効果が出ない」「料金に見合っただけの成果がない」と考えている人も多いのです。これらは、コーチングとは名ばかりのコーチに出会ってしまった結果といえます。
スキル不足のコーチは、「コーチングはただ聴いてあげれば、かなり効果が出るのよ」と言います。それもコーチングの一面を言い当ててはいますが、継続してコーチングセッションをもつ場面でクライアントの前進と行動を促そうとするなら、高いコーチングスキルに裏打ちされた「聴くこと」が為されていないと不可能なのだと思います。
誤解の3つ目として、「専門知識に特化して、その分野のコーチングができるようになりたい」という人が多いことです。ある種の専門分野の人に焦点を当てクライアントとして選ぶのは、問題がありません。しかし、「クライアントがハッと気づくような気のきいた質問をしたいから」という理由であれば危険があります。
これは「コンサルタントと勘違いしているのではないか」と感じてしまいます。コーチングをしたいのか、ティーチングをしたいのか、不明確なままコーチングを行なっては、これもまたコーチングの誤解になります。
「クライアントがハッと気づく気のきいた質問」など、めったに出せるものではありません。クライアントのほうが専門家なのですから。そこにコーチングの気づきを求めると、クライアントに「素人のクセにおこがましい」と思われることになります。
前回と今回で、コーチングビジネスを広める上での「誤解」を見てきました。
このコラムでは、コーチングスキルの磨き方は扱いません。あなたのコーチングビジネスの描き方、あなたのコーチングビジネスの広げ方、あなたのコーチングビジネスに必要なもの、つまり、あなたのコーチングビジネスをデザインし成功するためのヒントやきっかけを伝えていきます。
私がコーチングを学んだのは、2000年でした。シドニーオリンピックをやっていたのを覚えています。それから、多くのコーチに出会い、多くのやり方を見てきました。そして、私なりのビジネスの仕方も蓄積してきました。コーチとして成功するために、コーチングという「商材」をどう利用していくか、一緒に考えていきましょう。
続きは、次回です。