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[コーチング] 2006年06月16日 11:22分投稿
はじめまして。
フレックスコミュニケーションの登録コーチ・露崎潤子です。

今日、東京はすごい雨。
湿度も高く、うっとうしい日ですね。

さて、今日は私がプロコーチになりたての頃に感じたことを書きます。

(株)フレックスコミュニケーションでコーチングを学び、ラッキーにもすぐに登録コーチになれた私は、クライアントとも順調に出会いました。
ところがコーチングを行なっていて、クライアントに対して「私のコーチングは役に立っているのだろうか?」と、ふっと不安になることがありました。また、コーチである私自身が“コーチングの効果”を毎回のセッションで実感できるわけではなく、少しの戸惑いをもっていたのです。

そんなとき、私はKさんと出会い、担当コーチになったのです。
この話は、Kさんの了解を得てここでお伝えします。
大手スーパーの経理課長であるKさんの仕事の重責は、「従業員3万人の年末調整」でした。
42歳の誕生日を迎えたとき、中途採用で就職してから16年間が経っていました。Kさんは、毎年毎年行なってきた同じ仕事の繰り返しが急に虚しく思えたそうです。

そんな最初にKさんが掲げた目標は「年度末までに転職する」というものでした。
しかし、しばらくの間は目標に目を向けることはなく、セッションが始まると堰を切ったように仕事に対する愚痴や不満、職場の人たちへの怒り、恋人の気持ちが自分から離れていくことへの不安などを延々と話し続けました。

セッションは毎週1回40分間、電話で行います。12回(3ヶ月間)を1セットとしますが、1セット目はKさんの中に澱のように溜まった感情を「自分の外に出す」作業だったように思います。そのときの私はKさんにとって「ゴミ箱」だったのでしょう。

でもこの「コーチ」という名のゴミ箱は、単に不要になったものを捨てられる道具としてだけではなく、
「Kさんにとってどんな意味がありましたか?」ときいたり、時には、
「この経験でKさんが学んだことはどんなことだったでしょう?」と立ち止まってもらったり、
「今、あなたが最も大切にしたいことは何ですか?」
という質問をしたりしました。

Kさんはその度に、
「これは今の自分には必要がないものだ」と気づいたり、
「過去の経験は自分を苦しめたものばかりではない」と整理したり、
「自分が本当にしたいことはなんだろう?」と、自分の潜在意識に深く入ったり、という作業で自分と向き合いました。

そして、2セット目の後半に入る (開始4ヶ月目) 頃から、Kさんの発言が少しずつ変わってきました。それまで私をゴミ箱にしていたときに頻繁に使っていた「〜できない」「相手の考えが分からない」「他人は信じられない」という言葉をほとんど使わなくなりました。それどころか、「〜したいと思う」「自分を大切する」「〜していると楽しい」など肯定的な考えや言葉に驚くほど代わっていったのです。

質問に対しても、慌てて答えなくなりました。沈黙が多くなり、自分のなかの「答」を探している様子が受話器を通して私にも感じられるようになったのです。セッション中に、はっと気づくこともあれば、次のセッションまでの時間を使って“熟成”する場合もありました。一週間かけてKさんは「自分を見つめる」「自分に気づく」作業をしていたのです。

過去の自分とは違う考えや感情をもっている「今の自分に気づくこと」は、Kさんに「気づきの喜びと行動する楽しさ」をもたらしました。その結果、Kさんの行動は軽くなり当初の目標だった「転職」を決意し、それに向けて動き出したのです。

セッションの度にKさんはコミットしました。
『退職願を書く』『○日にハローワークに行く』『簿記2級を受験する』など、口にしたことは全て実行したのです。
「自分で決めて、自分とした約束ですから守れるんですよ」と力強く話すKさんは、考え、行動を選択し、自責で生きる「自立した人」になっていきました。

“変化するKさん”を通して私はコーチングの効果を実感しました。「コーチングとは、会話によって相手の優れた能力を引き出しながら、前進をサポートし、自発的に行動することを促すコミュニケーションスキル」と言われますが、それには「答はその人のなかにあると信じる」ということが前提にあります。

セッションはクライアントのための時間です。コーチはクライアントの話を受け入れながら聴き、適切な質問していけば、クライアントが自ら答を出すのです。
それは本当でした。「コーチングのもつ力」を、Kさんは端的に見せてくれたのです。

「私のコーチングは役に立っているのだろうか?」という不安は、Kさんの変化を感じることで解消されました。
「コーチングってすごい」「コーチって楽しい仕事ね」と思えたのもKさんとの経験からです。この経験はコーチをしていくうえで、私の自信にもつながっています。

毎回のセッションで“劇的な変化”があるわけではありません。
Kさんがこうした状態になるまでには3セット(約9ヶ月)分の時間を要しています。それが長いか短いは分かりませんが、「無駄な時間は何ひとつなかった、全て自分にとって必要なプロセスだった」とKさん自身、感じられたことが重要だと思います。

目標より3ヶ月早くKさんは退職しました。上司とも最後は腹を割って話すことができ、「長いことご苦労だったね」と労ってくれたそうです。簿記2級も取得し、歌も習い始めました。新しい仕事は勤務時間や仕事の内容を吟味して選びました。「収入は減ったけど、その分楽しみは増えましたよ」と言っていました。

Kさんとのセッションは今も続いています。
次の目標は“結婚”です。この目標が達成するまでプライベートコーチングを続けると決めているそうです。
私もKさんに置いて行かれないように、スキルを磨いてコーチとして成長しながらサポートしていきたいと思っています。
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